四国八十八ヶ所霊場を巡る「お遍路」の旅は、約1,400kmにも及び長距離の歩行が伴うため、体には大きな負担がかかります。その中でも、多くの人が悩むのが「マメ」(肉刺)であり、歩きお遍路を途中棄権する理由の多くがコレです。マメができると歩行が困難になり、旅そのものが辛くなります。
そこで本記事では、実体験を踏まえて、マメの予防策と、できてしまった場合の対処方法について、詳しく解説します。
知らないと危険?四国歩きお遍路でマメを防ぐ秘訣と対処方法
マメ(肉刺)ってそもそも何?なぜできるの?
マメの定義
肉刺(にくさ)、通称「マメ」とは、皮膚が繰り返し摩擦や圧迫を受けた結果、皮膚の外層(表皮)と内層(真皮)の間に液体が溜まる状態を指します。この液体は通常、体液や血清で、皮膚が剥がれたり炎症を起こすことで発生します。見た目は透明な水ぶくれ、または血液が混じることもあります。肉刺は短期間で形成されることが多く、特に長時間の歩行や運動、作業などで見られる一般的な皮膚トラブルです。
マメの原因
以下がマメの主な原因となります。
1. 摩擦
皮膚と靴、靴下、道具などの間に生じる摩擦が原因です。摩擦が繰り返されると、皮膚の外層(表皮)が内層(真皮)から剥離し、隙間に体液が溜まります。
- 歩行中:靴のサイズが合わない、靴紐が適切に締められていない、または靴下の素材が適切でない場合に発生しやすいです。
2. 圧力
足や手に過度な圧力がかかると、局所的に皮膚が押しつぶされるような力が働きます。これが摩擦と組み合わさると、皮膚の損傷が進みやすくなります。
- 長距離歩行:足裏や足の指先に高い圧力がかかるため、特にマメができやすくなります。
- リュックの重さ:お遍路での歩行中は、重い荷物が足に負担をかけることが多いです。
3. 湿気と汗
湿気や汗によって皮膚がふやけると、摩擦に対する耐久性が下がり、マメができやすくなります。
- 足が蒸れると、靴下や靴が皮膚に張り付き、摩擦が増幅します。
- 湿った環境では、皮膚が滑らかさを失い、より摩擦が強くなります。
4. 靴や靴下の問題
不適切な靴や靴下も、肉刺の発生に影響します。
- 靴が大きすぎる:足が中で動きすぎ、摩擦が増えます。
- 靴が小さすぎる:圧迫と摩擦が同時に発生します。
- 靴下の素材が悪い:合成繊維や厚すぎる素材は汗を吸わず、蒸れや摩擦を促進します。
5. 皮膚の状態
皮膚が乾燥している、または柔らかくなりすぎている場合、摩擦に弱くなります。
- 柔らかすぎる皮膚は引っ張られやすく、マメができやすくなります。
- 乾燥しているとひび割れや剥離が起こりやすいです。
マメを予防する方法
靴の選び方
- サイズとフィット感が重要:きつすぎず、緩すぎない靴を選びましょう。指先に1〜1.5cmの余裕があると理想的です。
- トレッキングシューズを検討:歩きお遍路では舗装道や山道を歩くため、クッション性が高く、耐久性に優れた靴がオススメです。
靴下の工夫
- 吸湿性のある素材を選ぶ:ウールやクールマックス素材の靴下は汗を吸収し、蒸れを防ぎます。
- 二重靴下を試す:薄手の靴下をインナーとして履くことで、靴下同士が摩擦を軽減し、マメを予防できます。
- 5本指ソックスを着用する:足の指を1本ずつ覆う構造になっている5本指ソックスは、足の指同士の摩擦や指の間のムレを軽減してマメを防止できます。
- ちなみに私の場合は、ウール混紡の5本指ソックスを2セット(インジンジ:以下参照)を持って、歩き遍路を踏破しました。トレイランニングや登山で愛用しているのですが、耐久性が高く履き心地抜群です。
足のケア
- 事前にシューズに足を慣らす:本番前に短い距離から徐々に歩く練習をしましょう。
- ベビーパウダー、フットパウダー、ワセリン、保湿剤を使用:足の汗を抑え、摩擦を軽減します。
- テーピングや防護パッドを活用:摩擦が多い部分にあらかじめ貼ることで、予防効果があります。
- ちなみに私の場合、歩き遍路の通し打ちをしたのですが、足の裏に保護クリームを塗って、足のケアを行っていたため、道中、一度も足にマメができませんでした。
- Earth Blue(アースブルー)から発売されている『Protect J1 長時間持続型保護クリーム』がお勧めです。毎朝、歩く前に一度足に塗り、日中に再度塗り直しましたが、これ一本で四国お遍路を踏破することができました。150mlのお徳用サイズも発売されておりますが、90mlサイズで十分足りると思います。
マメができてしまった場合の対処方法
初期対応
- マメを潰さない:潰すと感染のリスクが高まります。まずは水ぶくれを保護することが優先です。但し、大きな水泡がある場合は、消毒した針をマメに刺して中の液を抜いて、空けた穴を消毒、抗菌絆創膏で二次感染を防ぎます。
- 圧迫を避ける:痛みがある場合、摩擦を防ぐために靴の調整やジェルパッドなどの使用を検討してください。
応急処置
- クッション材で保護:ドラッグストアなどで購入できる「ドーナツ型パッド」や「ジェルパッド」を使ってマメを保護しましょう。
- 消毒と絆創膏:マメが破れてしまった場合は、消毒したうえで抗菌絆創膏を使用し、二次感染を防ぎます。
長期対応
- 潰れたマメのケア:破れた場合は毎日患部を洗い、乾燥させてから清潔な絆創膏を貼り替えます。
- 医療機関を受診:痛みがひどい場合や化膿している場合は、早めに病院へ相談しましょう。
お遍路初心者へのアドバイス
マメの予防と対処を意識するだけで、歩きお遍路の旅は格段に快適になります。最も重要な予防策としては、無理をせず自分のペースで進むことが大切です。歩行中に違和感を感じたら、早めに対応することで大きなトラブルを防げます。