四国お遍路(しこくおへんろ)は、日本国内外から多くの人々が訪れる歴史的な巡礼の旅です。その特徴的な88箇所の霊場を巡る道中は、信仰心を深めるだけでなく、自然や文化に触れる貴重な体験となっています。本記事では、四国お遍路に関する統計データを通じて、巡礼者の動向や四国お遍路の今を読み解きます。
数字で見る四国お遍路:年間巡礼者数や外国人観光客の動向は?四国お遍路のデータが教える驚きの事実
1.年間巡礼者数:増加傾向が示すお遍路人気の再燃
四国お遍路は長年にわたり愛され続けていますが、近年では特にその人気が再燃しています。各地の観光協会や関連団体のデータによると、四国を訪れる巡礼者の数は年間およそ20万人にのぼり、その数は年々増加傾向にあります。特にコロナ禍の影響が緩和されて以降、国内観光が盛り上がりを見せる中で、四国お遍路も再び注目を集めています。
年間巡礼者数(2015年~2023年)
年ごとの巡礼者数は2015年から増加傾向にありますが、2020年には一時的な減少が見られました。これはコロナ禍による影響と推測されます。2022年以降は回復が進み、2023年には20万人を超える巡礼者数が記録されています。
また、統計によれば、巡礼者の中で「全ての88箇所を巡る完歩者」は年間約5~10万人程度です。途中で断念する人も多い中で完歩者がこれほどの数を保っていることは、お遍路が体力的にも精神的にもチャレンジングでありながら、根強い人気があることを示しています。
2. 年代別巡礼者の傾向:若年層からシニアまで幅広い層が参加
かつては中高年層に人気だった四国お遍路ですが、最近は20代から30代の若い層が増加しています。若年層は、インターネットやSNSでお遍路の魅力を発信し、これがさらに新たな世代の巡礼者を呼び込んでいると考えられます。また、シニア層は昔から根強い支持を続けており、リタイア後のライフイベントとして四国お遍路を選ぶ人が多いようです。
- 若年層(20~30代):自己成長や精神的な充足を求めて参加
- 中高年層(40~50代):家族や友人と一緒に、またはひとりで静かに巡礼を楽しむ
- シニア層(60代以上):リタイア後の目標として巡礼を完遂し、達成感を得たいという希望が多い
巡礼者の年齢層別割合
巡礼者の年齢層は、20代から60代以上にわたり幅広い層が参加しています。特に30~40代の割合が高く、若年層の参加も増加していることがわかります。
年代別の巡礼者データを見ると、各年齢層で異なる動機を持ちつつも、お遍路が持つ「癒し」と「達成感」が、幅広い年代に受け入れられていることがわかります。
3. 外国人観光客の増加とその背景
お遍路を訪れる外国人巡礼者も年々増加しています。特にヨーロッパ、アメリカ、アジアの観光客に人気があり、四国お遍路の「巡礼体験」がグローバルに認知されている証拠とも言えます。国土交通省のデータによると、外国人観光客数は全巡礼者の約10%に相当し、四国全体のインバウンド観光の促進に大きく貢献しています。
外国人巡礼者の割合(2015-2023年)
外国人巡礼者の割合は年々増加傾向にあります。2015年に比べ、2023年では倍の約10%に達しており、四国お遍路がインバウンド観光の目的地としても認知されつつあることを示しています。
増加の背景には、四国お遍路が「精神的な旅」として注目されるようになったことが挙げられます。サンティアゴ巡礼路など、欧米での巡礼文化と親和性が高いため、海外の巡礼者が「日本版巡礼」として四国お遍路に魅力を感じるようになったのです。また、道中の遍路宿や案内所の英語対応も整備されており、海外からのアクセスのしやすさも要因となっています。
4. 四国お遍路の意外なデータ:驚きの完歩率とリピーター数
リピーター率と完歩率の推移
リピーター率は、2015年から少しずつ上昇し、2020年には25%に達し、完歩率も30%前後で安定しています。
リピーター率の高さから、完歩後も再度巡礼に訪れる人が多いことは驚きです。ある調査では、完歩者のうち3割近くが数年内に再度お遍路を訪れており、心身のリフレッシュや人生の節目にお遍路を選ぶ人が多いことが伺えます。再訪する理由は、「精神的な支え」「日常からの離脱」「再び達成感を味わいたい」など、さまざまな動機が挙げられています。
また、お遍路の全行程を完歩する人は、平均して全体の30%前後、多くの巡礼者が複数年かけて完歩を目指しているため、数年にわたりリピーターとして訪れる方も少なくありません。