四国お遍路の表と裏を知りたくなったら読むべき本
四国歩き遍路を経験した私が実際に読んで良かった本をご紹介します。
他ではあまり紹介されていない本ですが、四国お遍路の歴史背景を正確に理解し、これまでのお遍路に対するイメージを一新してくれる本なので、これからお遍路に旅経つ前(戻ってきてからでも)是非とも読んでほしい。
四国遍路の表と裏を知りたくなったら読むべき本
四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼 ― 上原善広
辺土とは、草遍路、乞食遍路、プロ遍路、職業遍路、生活遍路とも呼ばれる。長い歴史の中、「へんど」とはやがて乞食を意味するようになるが、昭和30年代までは遍路といえば「へんど」だった。一方で、八八ヶ所を経文を唱えて回る遍路は、ときに畏敬と畏怖の目で見られた。彼らは聖と賎を同時にそなえる存在だったのだ
引用元:上原善広著「四国辺土 幻の草遍路と遍路巡礼」
著者:上原善広
発売日:2021年11月26日
著者が5年の月日をかけて実際に歩き遍路をしながら、ルート周辺に点在する同和地区(被差別部落)を訪ね、見聞きした内容が纏められた、ルポタージュ。
私が四国遍路でお会いした方(Tさん)におすすめしてもらった一冊。
今現在、「お遍路さん」といえば、ネガティブなイメージを持つ人はいないと思いますが、昭和30年代までは、遍路は乞食とほぼ同義で、ハンセン病等の何らかの事情で家を追われた人や隠れ蓑として犯罪者等が巡礼者となり四国を巡っていて、巡礼者は畏敬の念を持たれた一方で、大半が蔑視され時に迫害されていた事実。
これまでの四国遍路のイメージを覆す、本当の四国遍路の姿を教えてくれる一冊。
私は四国遍路から帰ってから読みましたが、四国遍路に行く前に読むと、違う目線で旅を味わえると思います。
四国遍路 さまざまな祈りの世界 ― 星野英紀・浅川泰宏
著者:星野英紀・浅川泰宏
発売日:2011年3月1日
平安時代まで遡る四国遍路の起源から平成ブームまでの歴史、遍路する人々の変遷などが解説されている一冊。
乞食をするために遍路道を外れ、村々へ入るお遍路さんや、それらに弘法大師の面影を重ねる地元の人々の心境。信仰が深い故に苦悩する地元の人々。
四国遍路の表と裏を知ることのできる貴重な一冊。