そもそも日本にあるロングトレイルって具体的にどんなのがあるでしょうか?
元来、日本には古くから熊野古道や四国八十八ヶ所の遍路道等の巡礼の道や生活古道などの日本独自の文化背景、生活習慣を元に発展してきた”道”が存在します。近年では、海外の影響からか、”歩くことを楽しむための道”、ロングトレイルが以前によりも増して注目を集めています。
今回は日本の主なロングトレイルを体系的に整理し、ご紹介します。
日本に存在するロングトレイルは以下の3つに大別されます。
- 日本の国で計画し、国及び各都道府県で整備を進めるナショナルロングトレイル
- 日本の各自治体・民間団体が運営管理するローカルロングトレイル
- 日本の古来より存在するトラディショナルロングトレイル
日本のナショナルロングトレイル
日本全国には、環境省が計画し、国及び各都道府県で整備を進めている、10つの長距離自然歩道があります。
日本におけるロングトレイルの全国ネットワークであり、整備が完了すれば、総延長距離は約27,000kmとなります。
1969年の構想発案から50年以上が過ぎた現在、全体として管理運用するシステムが無いため、広報活動は不十分で、歩道整備や地図流通などのハイカーサポート等は基本的に各地方自治体、民間団体に委ねられているのが現状のため、ハイカーの認知度が低く、長距離自然歩道は十分に活用されていない課題があります。
今後、ロングトレイルへの関心が高まり、より多くの方に長距離自然歩道に注目していただき、足を運んでほしいと思います。
- 北海道自然歩道(全長4,600km)
- 東北自然歩道(新奥の細道)(全長4,369km)
- 東北太平洋岸自然歩道(みちのく潮風トレイル)(全長1,025km)
- 中部北陸自然歩道(全長4,091km)
- 首都圏自然歩道(関東ふれあいの道)(全長1,794km)
- 東海自然歩道(全長1,734km)
- 近畿自然歩道(全長3,296km)
- 中国自然歩道(全長2,295km)
- 四国自然歩道(四国のみち)(全長1,647km)
- 九州自然歩道(やまびこさん)(全長2,932km)
日本のローカルロングトレイル
日本のローカルロングトレイルは、各自治体や民間団体が主体となり運営管理しています。代表的な民間団体としては、日本ロングトレイル協会があります。
非営利活動団体の日本ロングトレイル協会は、全国のトレイル運営機関・諸団体による多角的な広報活動と普及促進、さらには情報交流などを行い、海外からも多くの人々を惹き付ける持続可能なトレイルの普及とゆるやかな情報ネットワークの構築を目的として、2016年に設立された団体です。
2024年3月現在、日本ロングトレイル協会の加盟トレイルは28コースで、うち8コースが及び整備中・計画中となっています。
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日本ロングトレイル協会 加盟トレイル(28コース、うち整備・計画中8コース)
- 十勝ロングトレイル(全長100km)
- 奥津軽トレイル(全長117km)
- 岩手山・八幡平・安比高原50kmトレイル(全長50km)
- みちのく潮風トレイル(全長1,025km)
- スノーカントリートレイル(全長307km)
- 信越トレイル(全長110km)
- ぐんま県境稜線トレイル(全長100km)
- 常陸国ロングトレイル(全長320km)
- 浅間・八ヶ岳パノラマトレイル(全長63km)
- 八ヶ岳山麓スーパートレイル(全長200km)
- 富士山ロングトレイル(全長170km)
- 塩の道トレイル(全長120km)
- 霧ヶ峰・美ヶ原中央分水嶺トレイル(全長38km)
- 金沢トレイル(全長70km、一部整備中)
- びわこ比良比叡トレイル(全長52km)
- ダイヤモンドトレール(全長45km)
- 山陰海岸ジオパークトレイル(全長230.9km)
- 広島湾岸トレイル(全長293.8km)
- 石鎚山系ロングトレイル(全長60km、一部整備中)
- 国東半島峯道ロングトレイル(全長124km)
現在、整備・計画中の8コースは以下の通りです。
- 栗駒山麓ジオトレイル
- 南房総ロングトレイル
- 南アルプスフロントトレイル
- 浅間ロングトレイル
- 美ヶ原高原ロングトレイル
- 茶の道ロングトレイル
- 白山白川郷トレイル
- 伯耆国ロングトレイイル
その他各自治体・民間団体が運営管理するローカルロングトレイル(一部)
日本のトラディショナルロングトレイル
日本には古くから日本独自の文化背景、生活習慣を元に発展してきた”道”が数多く存在します。
文化庁は、古くから人,物,情報の交流の舞台となってきた道や水路等は,日本の文化や歴史を理解する上で極めて重要な意味を持っており、これらの歴史的・文化的に重要な由緒を有する古道・交通関係遺跡を「歴史の道」として,その保存と活用を広く国民に呼び掛け,顕彰するために,平成8年に全国各地の最もすぐれた「歴史の道」78か所を「歴史の道百選」として選定、さらに、令和元年,新たに36件の道を選定し(既選定への追加選定19件),「歴史の道百選」は現在114件となっています。
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その中で、代表的なものとして、熊野古道、四国遍路八十八ヶ所があります。
熊野古道
熊野古道(くまのこどう)は、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと通じる参詣道の総称。熊野参詣道とも呼ばれ、紀伊半島に位置し、道は三重県、奈良県、和歌山県、大阪府に跨ります。2004年に世界文化遺産に登録されています。
総距離:約190 km +α
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四国遍路八十八ヶ所
(出典:https://www.shikoku88.net/ohenro-guide/map/)
日本で最も有名なロングトレイルの四国遍路八十八ヶ所。弘法大師空海ゆかりの88か所ある札所を巡る四国遍路は、徳島県、高知県、愛媛県、香川県の四国を全集する全長1,400kmを超える巡礼路です。
総距離:約1,400 km
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